長野駅善光寺口のスクランブル交差点を渡ると、まず目に入ってくるのが「油や」の看板です。
連日、多くの観光客や地元の人が訪れる、創業192年を迎える老舗の蕎麦屋。その歴史は、1833年(天保4年)にさかのぼります。
まだ灯りが油だった時代、県立大学の寮近くで油と塩を扱う商いを行っていたことが、油やの始まりでした。
その後、長野駅の誕生とともに現在の場所へ移転。
灯りが油から電気へと変わるように、時代の移り変わりの中で、油やも喫茶・食堂・お土産処へと形を変えながら歩んできました。
戦後には飲食業へ本格的にシフトし、長野オリンピック前には自社ビルとして建て替えを実施。そこからは、蕎麦屋と宴会場という2つの顔を持つ店として、長野駅前のにぎわいを支えています。
看板料理は、信州の涼やかな空気をそのまま閉じ込めたような「戸隠おろしそば」。
素朴ながらもキリッとした味わいで、旅の途中に立ち寄ったお客様がひと口すすれば、ふっと表情が緩むような一品です。
そんな油やが今回募集するのは、ホールスタッフと調理スタッフ。厨房では蕎麦を使った一品料理や会席料理を担当し、ホールではお客様に料理を届ける役割を担います。
接客や調理が好きな方であれば、未経験でも大丈夫。
ここでの仕事を通じて、お客様との会話や料理をつくる時間そのものを楽しんでもらいたい——それが油やの願いです。

長野県|調理スタッフ・ホールスタッフ|変わらぬ味と、受け継がれてきた心。
インタビュー:代表取締役社長・北村 文男さん
取材で訪れたのは、自社ビルの9階にある「宴席油や」。
全室が個室で、窓の外には菅平高原が広がり、季節ごとに表情を変える山々を眺められます。静かで落ち着いた、まさに“特別な時間を過ごすための空間”という雰囲気です。
迎えてくれたのは、代表の北村さん。柔らかい物腰の方で、こちらの緊張もすっとほどけていくような佇まいでした。
「1階は観光客のお客様が多く、外国の方にもよくご利用いただきます。9階の宴席は地元のお客様が中心です」
提供する料理は、コシのある手打ち蕎麦と、長野の旬の素材をふんだんに使った会席料理。
郷土料理を大切にし、地元のものを地元の料理として提供する──。それは創業の頃から変わらず受け継がれてきた油やのこだわりです。
「お客様に喜んでいただくことを一番に考える。その姿勢だけは、先々代からずっと変わらないんです」と北村さんは話します。
長野駅ができて場所を移したときも、戦後に喫茶や食堂をはじめたときも、自社ビルへ建て替えたときも。時代の変化に合わせて形を変えながらも、「変えていいもの」と「変えてはいけないもの」を見極め続けてきたといいます。
何世代にもわたって通い続ける常連さんが多いのは、この揺るがない“おもてなしの姿勢”が、店の味と同じくらい大切に守られてきたからなのかもしれません。

油やで働くスタッフの年齢層は20代から60代までと幅広く、男女比もおよそ半々。長く働く人が多く、中には自社ビルが建つ前から勤めているスタッフもいるそうです。
ここで、北村さんに今回募集するホールスタッフと調理スタッフの仕事内容を伺いました。
「ホールスタッフは、お客様のご注文を伺い、料理を配膳・下膳する仕事です。部屋の整え方や、お茶をお出しするタイミングなど、細やかな心配りが大事になります。ただ、最初はお冷出しや下膳など、簡単な業務から始めてもらうので、未経験の方も安心してください」
部屋の清掃や整理整頓にも携わりながら、少しずつ油やならではの“おもてなし”を身につけていくイメージだ。
一方の調理スタッフについては、こう続けます。
「調理スタッフは、前日や2日前から仕込みを行い、当日提供する料理を仕上げていきます。予約が9割を占めるため、段取りを立てやすく、落ち着いて仕事に取り組める環境です。会席が中心ですが、盛り込み料理として中華を提供することもあり、幅広いジャンルに触れられます」
ゆくゆくは料理長が考える月替わりのメニューづくりに携わることも。
「やってみたい」という思いを歓迎し、積極的に挑戦できる自由度の高さも、油やの魅力のひとつです。
さらに、技術を持つベテランスタッフが多数いるため、丁寧に学びながら腕を磨きたい方にもぴったりの環境です。

インタビュー:店長・一之瀬さん(入社3年目)
続いてお話を伺ったのは、そば亭油やの店長・一之瀬さん。穏やかな笑顔と丁寧な言葉遣いが印象的な方。
「母が長野県出身で、幼い頃から長野に来る機会が多かったんです。自然や食べ物がとにかく魅力的で、どこか帰ってきたくなる場所でした」
移住の最初のきっかけは約10年前。前職の会社で長野市の店舗へ転勤となり、自然の近くで暮らす心地よさを実感したという。
「その後、東京勤務に戻ったときに体調を崩してしまって。半年ほど休養したあと、もう一度長野で働きたいなという気持ちが強くなりました。それから体調が戻り、働く自信が出てきたタイミングで転職先を探し始め、転職サイトで油やを知り、お声がけをいただいたことが入社のきっかけです」
一之瀬さんがそば亭油やに入社したのは2023年8月。
半年の試用期間を経て、2024年4月には店長を任されることになった。
「前職の経験は大きかったですね。お客様への声の掛け方や、混雑時の立ち回りなど、これまで培ってきた引き出しがそのまま活かせました。会社のルールを覚えた段階で、ここでも通用するという手応えを感じました」
早い段階で戦力として信頼を得られたことが、店長として踏み出す後押しになったという。

仕事の中で苦労したことを尋ねると、一之瀬さんは少し笑みを浮かべながら話してくれた。
「電車の遅延や天気、駅前でのイベントなどで来店数が大きく変わるんです。最初の頃は立てた予測が外れることが多くて。それをひとつずつ修正しながら経験を積んでいきました」
駅前という立地は、にぎわいを生む一方で、読みづらさもある。座敷席の巡回や、多様なお客様への対応など、状況に応じた柔軟さが求められたという。
そんな中で、一之瀬さんはどんな瞬間にやりがいを感じるのだろうか。
「お客様に『おいしかったよ』『ありがとう』と言っていただける瞬間が、いちばん嬉しいです。あとは、忙しい時間帯でもスタッフ全員が声を掛け合い、どうすればお客様に喜んでいただけるか”を第一に考えて動く。そのチームワークが、油やらしさでもあると思います」
印象に残っている出来事として、一之瀬さんはある常連客のことを語ってくれた。
半年ぶりに来店した年配の男性。名前だけでなく、注文の傾向まで覚えていたという。
「ご友人を連れて来られたとき、先に準備を整えておいたんです。お帰りの際、ご友人の方から『彼はすごく喜んでいたよ。また来るね』と言っていただけて。あれは本当に嬉しかったですね」
一人ひとりのお客様を思いながら接する姿勢こそ、油やが190年以上守り続けてきたおもてなしの心そのものなのかもしれない。

「飲食業界に入ったとき、上司によく『はやけりゃいいってもんじゃない』と言われていたんです。その言葉は今でも私の指針になっています。スピードも大切ですが、お客様が求めるタイミングで提供できなければ意味がありません。常に状況を観察し、それぞれのお客様に最適なサービスを届ける。接客の基本はそこにあると思っています」
そう語る一之瀬さんが一緒に働きたいと感じるのは、こんな人だそう。
「喜んでもらいたい、という気持ちを大切にできる人。お客様にも、同僚にも、そして自分自身にも、感謝や尊敬の気持ちを持てる人。お互いに学び合いながら成長していける関係が理想です」
さらに、一之瀬さんは続ける。
「現状を客観的に捉え、前向きに成長していける人が向いていると思います。社長をはじめ、穏やかな人が多く、人間関係で悩むことはほとんどありません。協力し合う文化が根づいているので、休みも取りやすいですし。老舗でありながら堅苦しさのない温かい会社というのが、油やの魅力ですね」
最後に、今後の目標とこれから入社される方へのメッセージをいただきました。
「地元の方々にも、観光客や出張で訪れる方にも長く愛されるお店として、そば亭油やを続けていきたい。そのためにも人材育成を進め、売上も常に前年を超えていけるよう、すべてのお客様に喜んでいただけるサービスを追求したいと思っています。おもてなしが好きな方、自分で考えながら成長していける方、ぜひ一緒に働きましょう!」
温かい声でそう話す一之瀬さんの表情から、油やが大切にしてきた“人を想う文化”が、今も確かに受け継がれていることが伝わってきました。

インタビュー:調理スタッフ・中村さん(入社11年目)
次にお話しを伺ったのは、2014年入社の調理部門・中村さん。
前職ではホテルの調理部門に所属し、宴席料理から洋食まで幅広く経験を積んできた。
将来の働き方を考える中で、信頼する上司に相談した際に紹介されたのが油やだったそう。
「入社後は積極的に現場へ入り、料理の基本から宴席料理の段取りまで、実践を通して身につけていきました。現在担当しているのは、料理の下ごしらえ、調理、盛り付けなど、調理全般です」
一皿一皿に丁寧な手仕事が求められる油やの料理を支える、欠かせない存在だ。
「仕事で大変なのは、毎月変わる会席の内容に合わせて、仕込みや盛り付け、提供の流れを新しく覚えなければならないこと。油やの料理は、季節感や地元食材を大切にしている分、変化が大きいんです。次に出る料理を頭の中で描きながら、いかにスムーズに切り替えていくかが難しいところですね」
しかし、その難しさがやりがいにもつながっているという。
「同じ作業でも『もっと早くできた』『こうした方が良かった』という気づきが毎日のようにあるんです。自分の成長が目に見える仕事なので、昨日より今日、今日より明日と積み重ねていく面白さがありますよ」

中村さんは、仕事で印象に残っている出来事についても話してくれた。
「入社して間もない頃、ぎくしゃくしていた先輩と一緒に厨房に立つことがあったんです。その日は段取りがぴたりと噛み合い、忙しい時間帯も驚くほどスムーズに回すことができました。先輩が『今日はありがとう』と声をかけてくれて、そのひと言がすごく嬉しくて、努力はちゃんと届くんだなと実感しました」
さらに、仕事で大切にしていることについて尋ねると、迷いなくこう答えてくれた。
「衛生面や盛り付けに徹底してこだわることです。お客様に自信を持って出せる料理をつくりたいという思いは、どんなに忙しいときでも変わりません。食材の扱い方や包丁の入れ方、盛り付けの角度まで、細部への配慮が油やの料理の品質につながっています」
続けて、一緒に働きたい人物像について伺うと、こんな言葉が返ってきた。
「オーダーをしっかり復唱して確認できる人。分からないことをそのままにせず、きちんと質問できる人がいいですね。厨房は流れが速いので、はきはき動ける方だと特に助かります」

続けて、会社の好きなところについて伺うと、中村さんは少し照れたように、しかしあたたかい口調で話してくれた。
「何かミスをしても、ただ叱るのではなく、次はこうしようと前向きに教えてくれるんです。落ち込んでしまいそうな時でも、責めるのではなく成長へとつなげてくれる。その温かさが、長く働けている理由のひとつだと思います」
最後に、今後の目標と、これから入社される方へのメッセージをいただきました。
「仕込みも調理も、次に何が起こるかを先読みして動けるようになりたいです。自分だけの強みを見つけて、もっと成長していければと思っています。油やは丁寧に教えてもらいながら仕事を身につけていけますし、失敗しても叱責されるのではなく、次につなげようと声をかけてくれる前向きな職場です。経験が浅くても、意欲さえあれば成長できる環境があります。ぜひ一緒に頑張ってみませんか」
言葉の端々ににじむやさしさと誠実さ。
その姿勢と丁寧な仕事が、宴席油やの味と品質を静かに、しかし確かに支えているのだと感じました。

お客様を大切にすること。
目の前の人が気持ちよく過ごせるように心を配ること。
それは、190年以上の歴史のなかで受け継がれてきた油やの価値観。
そしてその姿勢は、厨房だけでも、ホールだけのものでもありません。
油やに関わる全てのスタッフが、自然と身につけている“空気のような文化”として息づいています。
ここで働くということは、単なる「調理」や「接客」を超えたもの。
この土地で育まれてきた信州の文化や、訪れる人の記憶にそっと寄り添いながら、次の世代へと受け継いでいく仕事なのだと感じました。
株式会社アブラヤ 募集要項
募集職種
(1)ホールスタッフ
(2)調理スタッフ
雇用形態・給与
雇用形態
正社員
給与
月給18万3872円 ~ 25万5780円 + 固定残業代 + 交通費
※上記金額にはみなし残業10時間~15時間分(1万3263円~2万7674円)を含みます。
※超過分は別途支給いたします。
※いずれも経験・資格・スキル等を考慮の上、決定します。
昇給
あり
1月あたり3000円~1万3000円(前年度実績)
賞与
あり
待遇・福利厚生
社会保険完備
時間外手当
交通費支給(バス・電車などの交通機関)
ガソリン代支給
駐車場完備
まかない有り
時間外手当
制服貸与
勤務地・勤務時間・休日休暇
勤務地
長野県長野市末広町1355-5 ウェストプラザ長野1F・9F
※長野駅より徒歩1分
※駐車場完備
勤務時間
・シフト制(実働最大8時間)
<シフト例>
10:00~19:00
13:00~22:00
・シフト交替制
9:00~22:30の間で実働8時間
休日休暇
週休2日制
年間休日105日
年末年始休暇
慶弔休暇
有給休暇(10日~)
仕事内容
(1)ホールスタッフ
席へのご案内、オーダー、お料理の配膳・下膳、ホールの清掃、整理整頓など
(2)調理スタッフ
仕込み、調理・盛り付け、調理器具や食器の洗浄、厨房の清掃、食材の在庫管理、メニューの考案など
落ち着いた環境で、ゆっくり一つ一つの業務を覚えていけるので未経験者も安心!
応募条件・求める人物像
応募条件
学歴不問
経験不問
未経験者歓迎
求める人物像
接客が好きな方
調理が好きな方
長野が好きな方
お客様と話すことが好きな方
採用プロセス
募集期間
2025年12月11日~
※募集人数に達した時点で終了とさせていただきます。
採用予定人数
若干名
採用プロセス
ご応募・お問い合わせ
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書類選考
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面接(1回)
↓
内定
※試用期間6ヶ月
https://n-aburaya.com/
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企業情報・お問い合わせ
〒380-0825
長野県長野市末広町1355-5 ウエストプラザ長野
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採用担当:北村

