青空に向かってすっと伸びる木々を眺めていると、どこか心が落ち着くような気がします。
家具や柱として形を変えても、木は呼吸をし、生きている。
その香りや手ざわり、年月を経て深まる風合いに、あたたかみや安心感を覚えるのは、きっと人間もまた自然の一部だからなのでしょう。
訪れたのは、長野県東御市にある「株式会社第三木材」。今回、2度目の取材です。
玄関で迎えてくれたのは、総務マネージャーの宮下さん。
「おかえりなさい」と柔らかく笑ってくれたそのひと言に、ふっと肩の力が抜けました。
木の温もりを大切にしながら、地域とともに生き、未来へと技術や文化をつないでいくこの会社。その姿勢は、訪れる人にさえ、どこか“帰ってきた”ような安心感を与えてくれます。

長野県の東部に位置し、千曲川の流れと雄大な山々に抱かれた東御市。
市の面積の半分以上を森林が占め、木々のざわめきや野鳥の声が日常に溶け込んでいます。
そんな自然豊かなこの地で、地域の木を活かし、未来へとつないでいく仕事に取り組んでいるのが、「株式会社第三木材」です。
創業は1880年(明治13年)頃。
上田市材木町で「島田屋木材」として始まったその歴史は、時代の変化とともに形を変え、現在では建築資材の流通販売、木工事の請負、県産材製品の加工・販売、防腐・防火処理材の提供など、木材に関わるさまざまな業務を手がける専門商社として成長を続けています。
代表取締役の島田直政さんは、木材の未来を見据えながら、こう語ります。
「日本は国土の約7割が森林です。にもかかわらず、戦後から輸入材に頼る流れが続き、国産材の価値が見直されるようになったのはここ最近のこと。2021年の“ウッドショック”をきっかけに、多くの人が“木のこと”に目を向けるようになったと思います」

そんな時代の変化をチャンスに変えようと、第三木材では16年前から木工事の請負をスタート。
資材の手配だけでなく、施工を担う大工さんとのマッチングも行い、現場のサポート体制を整えています。
「木材の流通だけでは、価格競争に巻き込まれがち。でも、加工や施工も含めて一貫して携わることで、お客様にとっての価値も上がるし、大工さんの働きやすさにもつながるんです。うちは地域密着型の会社なので、地元の技術や人の力を活かすことも大切にしています」
木材に関わるすべての人が、誇りとやりがいを持って働けるように。そんな想いをもって、現場を支えるのが「工務」の仕事です。
工務として現場を支えるのは、建築工事部の田中さんと佐藤さん。
まずお話を聞かせてくれたのは、課長の田中さん。高校卒業後からずっと建設業に携わり、前職ではゼネコンに勤務していたというベテランです。
「島田社長に声をかけてもらって、最初はアルバイトで入ったんですよ。建設業界って上下関係が厳しいイメージがあるかもしれませんが、うちはフラットな社風で、中途入社でもすんなり馴染めました。気づいたら正社員になっていた感じですね(笑)」

工務の仕事は、工程・コスト・品質・安全・アフター対応など、多岐にわたる。
現場の円滑な進行を支えるため、事前の段取りや資材の手配、元請けや大工さんとの打ち合わせなど、細やかな配慮が求められます。
「とにかく“段取り”が命。先回りして準備をしておけば、大工さんが手持ち無沙汰になることもないし、現場の混乱も防げるんです。特に特殊な案件ほど、事前の読みと行動が重要になってきます」
そんな田中さんがやりがいを感じるのは、工事が無事に終わったときの達成感。
「金額も大きいし、工期も長い。でも、そのぶん完成したときの満足感は大きいですね。お客様の『ありがとう』という言葉や笑顔を見ると、苦労した甲斐があったなと思います。あと、木って、ただの材料じゃないんですよ。一本一本、目や性質が違っていて、“個性”があるんです。そこを見極めながら扱うのも面白さのひとつですね」
今後は、より効率よく現場を動かせるように工夫しながら、後輩の育成にも力を入れていきたいそうです。

続いてお話を聞かせてくれたのは、入社11年目の佐藤さん。
もともと鉄骨職人として働いていたものの、サービス業を経て再び建築の世界に戻ってきたそうです。
「工務の仕事では、現場だけじゃなくてデスクワークも結構あります。設計図から必要な木材を拾い出したり、資材の寸法を計算したり。ざっくりとした図面から設計士さんの意図を汲み取って、形にしていくのが私たちの役割です」
案件ごとに条件が異なるため、毎回が学びの連続。やりがいは、自分の手で“答え”をつくり上げていくことにあるといいます。
「現場ではお客様の期待もあるし、工期もある。でも、だからこそ“これが私の仕事だ”って言えるものを提供したい。手を抜かず、ちゃんと納得できる仕事をしたいんです」
最初に担当した現場は軽井沢の物件。設計も施工も複雑で、いきなり大変な現場を任されたことに驚いたそう。
「でも、先輩や現場監督が本当に良い人たちで。『一緒にやっていこう』っていう空気があったんです。辛いこともあるけど、それ以上にやりがいのある仕事だと思いますよ」
目標は、自分が現場にいなくても現場がスムーズに動くように、先を読んだ行動をすること。
「木は呼吸する生き物です。湿度で伸び縮みするし、扱い方にもコツがある。自然のものを扱いながら、建物づくりに一貫して関われるのがこの仕事の魅力なんじゃないかと思います」

次にお話を伺ったのは、入社3年目の金井さん。前職は畜産関係の仕事に携わっていて、「次も自然に関わる仕事がしたい」と思い、第三木材に入社。
「林業にも興味があったんですけど、ちょっとハードルが高いなって感じて。でも、木を扱う仕事なら、自分にもできるかもしれないと思ったんです」
中途入社ということもあり、入社後は配送部や製造部での研修からスタート。現場でどんな製品が使われ、どんな工程でつくられているのかを肌で感じながら学んでいきました。
「最初の現場は今でもよく覚えています。大工さんたちの声がすごく大きくて、迫力に圧倒されました(笑)。正直、ちょっと不安にもなりましたね。自分がここでやっていけるのかなって」
でも、休憩になると、大工さんたちのほうから話しかけてくれたという。現場が違ってもまたどこかで顔を合わせることも多く、自然と会話の輪が広がっていったそうです。
「女性の営業って珍しいのもあって、現場では重いものを代わりに持ってくれたり、名前を覚えてくれていたり。そういう優しさに助けられました」

「最初のうちは、分からないことが多くて本当に大変でした。特に大工さんたちが使う言葉――“尺”とか“寸”とか、“追っかけホゾ”とか、何のことだろうって思って。でも、覚えないと話が通じないから、先輩や大工さんにどんどん聞きました」
その努力が実を結び、今では現場で交わされる専門的な会話にもすっと入っていけるように。
「道具の名前を覚えたり、材料の呼び方を知ったりするうちに、会話が通じるようになるのがすごく楽しかったです。『今度はこれ覚えた!』って小さな達成感が積み重なっていって。今でも毎日が勉強です」
営業の仕事は、木材をはじめとした建築資材の提案や納品管理、見積もりの作成、大工さんとの調整など多岐にわたります。
担当するエリアは上田・東御・小諸・佐久・軽井沢の東信地域で、1日1〜2件の訪問を自分でスケジュールを立てて回るスタイル。

「この仕事の面白さは、建物ができるまでの“全体”を見渡せるところ。完成した建物を見かけると、“あ、ここ自分が関わったところだ”って誇らしい気持ちになります。最初は運べなかった材料を普通に運べるようになって、道具の名前を自然に使っていて、そんな自分の成長が目に見えるのが嬉しいんです」
また、3ヶ月に1度、部署を越えて全社員が集まる全体会議もあるそうで、そこで各部署の動きや方針を共有。
製造・配送・工務・営業といった垣根を超えて、チームとしての一体感をつくっているとのこと。
「誰に聞いてもちゃんと答えてくれるし、分からないことをそのままにしないで済むのがありがたいです。新人のうちは“分からないことを聞ける”ってすごく大事だと思います。優しく教えてくれる人ばかりなので、安心して飛び込んできてほしいですね」

2023年11月。会社の2階に「第三食堂」がオープンしました。
“社員に健康的な食事をとってほしい”という代表・島田さんの思いからスタートし、料理が得意な社員のアイデアと協力によって実現したプロジェクトです。
「これまで2階は会議スペースだったんですが、改装して食堂兼ワークスペース、休憩スペースとしても活用するようになりました」
そう教えてくれたのは、総務マネージャーの宮下さん。
食堂では、社員で食事を調理することもあれば、社員の持ち込みランチでにぎやかに過ごす日もあり、ちょっとした相談ごとや雑談の場としても使われているそうです。
「会社の制度も、現場の声から改善されていくんですよ。紙に意見を書いて提出する“提案制度”があって、それをもとにルールを見直すことも多いです。トップダウンではなく、社員の声が届く会社なんです」
社内の風通しのよさは、こんなところにも表れているのかもしれません。

最後に、代表取締役の島田直政さんに、今後のビジョンを伺いました。
「若い人たちがチャレンジできる場を、もっとつくっていきたいと思っているんです。たとえば、職人さんを育てる学校のようなものや、新しい事業を立ち上げる仕組みもそのひとつ。社内で起業してもいいし、第三木材から巣立って独立してもいい。僕の夢は、ここから“10人の社長”が生まれることなんです」
島田さんの言葉は軽やかですが、その根底には、深い信頼と、地域を巻き込む長期的な視野があります。
「会社を経営するって、実はすごくいい人生の勉強になると思うんですよ。責任もあるけど、自由もあるし、自分の選択が社会にどう影響するかを考えるようになる。うちの会社に来た人が、そんな経験を積める場所になったら嬉しいですね」
その一方で、地域の未来を見据えた視点も忘れていません。
「地元の木を使って、地元の大工さんが建物をつくって、地元の人が暮らす。こういう循環があってこそ、地域が元気になると思うんです。だから僕たちは“地材地建”と“地承”の両方を大切にしています。地域の木を使うだけじゃなくて、地域の文化や技術、人のつながりも受け継いでいく。それが第三木材の仕事です」

第三木材で働く人たちと話していると、木という“素材”以上のものを感じます。
木にはそれぞれ表情があり、同じものはひとつとしてない。扱う人たちの目と手と心で、その違いを見極め、活かしていく。
第三木材の仕事もまた、そうやって“違い”や“個性”に目を向けて、丁寧に育てていく営みなのだと思います。
ここでは、誰かの夢が始まったり、誰かの挑戦が見守られたりしています。
現場で汗を流す人も、机に向かう人も、それぞれの役割を尊重しながら、一緒に未来をつくっている。
「木とともに、未来のためにできることを。」
そんな想いに共感したあなたへ。
まずは、気軽に。木の香りと、人のあたたかさに触れに来てください。
株式会社第三木材
募集職種
(1)工務(未経験者)
(2)工務(経験者)
(3)営業
雇用形態
正社員
給与
(1)月給25万円~
(2)月給40万円~(34時間分の残業手当(81,300円~)含む)
(3)月給23万円~
※年齢・スキル等を考慮の上、決定します。
※超過分は別途支給します。
昇給
年1回(4月)
賞与
年2回(6月・12月)
※前年実績1.5ヶ月
待遇・福利厚生
社会保険完備
通勤交通費(上限月2万円)
時間外手当((1),(3)全額支給)((2)40時間超過分は全額支給)
役職手当
職能手当
資格手当(設計士、建築士、施工管理技士など/月5000円~3万円)
資格取得支援制度(資格取得に必要な費用を全額又は、一部会社負担)
退職金制度(勤続2年以上)
制服貸与
社員旅行
携帯電話貸与
勤務地
本社/長野県東御市加沢201-5
※マイカー通勤OK(駐車場完備)
勤務時間
8:00~17:00(休憩60分)
※残業時間:職種により異なりますが、全社平均は月3.5時間と少なめです。
休日休暇
年間休日115日
週休2日制(土・日)
※月1~2回土曜出勤あり
祝日
GW休暇(4~5日)
夏季休暇(4~5日)
年末年始休暇(8~9日)
有給休暇(10日~)
産前産後休暇
育児休暇
介護休暇
慶弔休暇
仕事内容
(1)(2)工務
中大規模の木工事における管理業務
工程管理、コスト管理、品質管理、安全管理、アフター管理など
※担当する案件は一人あたり1~6件(規模による)
※東信エリアが中心
(3)営業
建材や住宅関連資材の提案・納品、民間・公共の建築工事の受注、
見積り作成、取引先との打ち合わせ、工事進捗の確認など
※担当社数は一人あたり20社程度
※東北信エリア中心
研修制度充実!未経験の方もご安心ください!
応募条件
学歴不問
普通自動車免許
求める人物像
人と話すことが好きな方
チームワークを大切にできる方
思いやりをもって仕事に取り組める方
夢や目標・やりたいことがある方
将来起業を考えている方
募集期間
2025年6月27日~
※募集人数に達した時点で終了とさせていただきます
採用予定人数
工務2名
営業2名
採用プロセス
ご応募・お問い合わせ
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書類選考
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面接(1~2回)
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内定
※試用期間3ヶ月
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